浦川宜也
浦川宜也(ヴァイオリン)
Takaya Urakawa, violin
1940年東京生まれ。就学前、両親より絶対音感教育を授けられる。幼時に鈴木慎一よりヴァイオリンの手ほどきを受け、6歳で小野アンナ女史の門をたたき10年間指導を受ける。9歳で学生音楽コンクール第1位、11歳で初リサイタル、13歳で第22回音楽コンクール入賞、近衛秀麿氏に認められ、チャイコフスキーの協奏曲でデビュー。以後、ABC交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団と共演。15歳の時、小林道夫氏のピアノで第2回リサイタルを開く。東京藝術大学附属高校で井上武雄氏、 J. イスナール女史に師事。
1959年、東京藝術大学入学の年に西ドイツ政府DAAD奨学生として渡独。西ベルリン音大で短期間G. タッシュナー氏に師事の後、M. シュヴァルベ氏の門に入り、約2年間充実した指導を受ける。1961年秋バイエルン州の奨学金を得てミュンヘン国立音大に入学し、 W. シュトロス教授の許で高度な技術的修練と同時にドイツ音楽の本質への洞察の方法を学ぶ。
1964年同音大を首席で卒業後、直ちに中部プファルツ交響楽団の第1コンサートマスターに、翌1965年春、大指揮者 J. カイルベルト氏に認められ、バンベルク交響楽団第1コンサートマスターに就任。1968年、同団の訪日に同行し話題となる。1969年まで同職を務める傍ら、同団室内楽グループのリーダーとしても活躍。
1970年代にはソリストとして独立し、西ドイツ、オランダ、スイス、ポーランド、チェコ等の主要オーケストラと協演の他、西ヨーロッパ各地でリサイタルを行う。1974年、渡欧後日本で初リサイタルを機に「ヨーロッパの伝統を受け継ぐ新しいタイプのヴァイオリニスト」として注目を集める。
1981年に帰国。東京藝術大学助教授を経て、1984年より教授として教育活動と並行し、精力的にレコード、CD録音を行い、バルトーク無伴奏、4大協奏曲、ベートーヴェン、ブラームスのソナタ全曲、 J. S. バッハと、モーツァルトのほぼ全ての作品の収録を成し遂げる。
海外の活動は、名門のワシントン国会図書館シリーズでクライスラーのグァルネリを奏するなど、USA、オーストラリア、中国、シンガポール、欧州各地に及び、国際コンクール審査、内外のセミナー等にも招かれる。また、楽譜の校訂も手がけ、ベートーヴェン・ソナタ、バッハ無伴奏、モーツァルト協奏曲他多数に及ぶ。
社会的活動としては、1990年から2000年まで12回に亘り札幌ジュニアチェロコンクールを主宰。2008年、東京藝術大学を定年退任。現在、同大学名誉教授、また2016年まで東京音楽大学大学院担当客員教授として指導にあたる。数年来、《小野アンナ記念会》会長の他、《NPO法人文化日独コミュニティー》の理事長を務める。
2017年秋、ドイツ連邦共和国バイエルン州ミュンヘン市に於いて、若い芸術家の支援を目的とした公益財団法人「浦川宜也財団」(www.urakawa-foundation.com/)を設立、その理事長に就任する。